2003年9月15日
HP管理人・萩野谷敏明

9月12日公判の記録

■概 略

今回の公判のポイントは、押田鑑定人の「鑑定人尋問」が日程化したことにある。原告と県警サイドが押田鑑定人の招請を求め、伊藤監察医サイドは「裁判所が招請を採用するなら尋問したい」と述べ、裁判長の裁定により、次回公判において鑑定人尋問が実現することになった。

当事者間のスケジュール調整の結果、その日取りは11月28日、午後1時15分から5:00、午後いっぱいを使っての尋問となる。

もう一つのポイントは、伊藤監察医側から出されている「第6準備書面」のうち、「因果関係の不存在」(P6から8)について、原告から「今、別の法医学者の見解を求めている」ので、その見解を踏まえたうえで、10月末までに準備書面を提出する日取りとなったことが挙げられる。
 

■県警・監察医からの尋問主旨

前回6月の公判で、裁判長から県警・監察医側に対し「鑑定人に質問する内容を整理して、8月29日までに提出すること」が求められた。

この「宿題」に対する返答は、全文を挙げても下記の通り、ほぼ項目を羅列しただけのものである。

    (県警側)
    尋問事項 証人 押田茂實
    1.被告伊藤順通氏を知るか。何時頃から、どのように。
    2.本件鑑定人に選任されるに至った経緯。
    3.ホルマリン固定された臓器を法廷で授受した後、閉廷後の証人の言動について。
    4.ブロック標本を法廷で授受した際の証人の発言内容について。
    5.中間報告書の提出経緯について。
    6.中間報告書の内容について。
    7.鑑定書の作成経緯について。
    8.鑑定書の内容について。
    9.その他関連事項一切。

    (監察医側)

    1.証人の表示 (略)
    2.立証主旨
    証人の作成にかかる平成15年3月31日付鑑定書および平成14年4月8日付中間報告書によっても、被告伊藤が久保幹郎の遺体を解剖していない等とはいえない事実。前記鑑定書および中間報告書が法律的・医学的観点からみて、杜撰かつ不正確なものである事実。
    3.尋問事項
    1.鑑定作業の経緯について
    2.臓器等を受領後の保管経緯について
    3.中間報告書の提出経緯について
    4.中間報告書の内容について
    5.鑑定書の内容について
    (1)鑑定を行った資料について
    (2)DNA抽出法について
    (3)PM検査の手法について
    (4)HLA DQA1型鑑定の手法について
    (5)試験紙の写真について
    6.その他、上記内容に関連する事項。
なお、付記すると、裁判長から「証人尋問ではなく、鑑定人尋問とする」ことが明言されている。
 

■第6準備書面

監察医側が提出している、平成14年1月16日付けの「第6準備書面」のうち、「因果関係の不存在」という項では、主に、次のようなことを言っている。

  1. 被告伊藤が、亡久保幹郎の司法解剖をしたことは事実であり、解剖所見に基き、死因を心筋梗塞としたことは、監察医の良心に誓って、紛れも無い事実である。

  2. しかし、仮に、遺体を解剖していなかったとしても、それで直ちに虚偽の診断書作成ということになり、原告から損害賠償の対象にされるいわれはない。

  3. 解剖していなくても、死因が心筋梗塞ならば、診断書は虚偽のものとはならない。解剖をしなくても、死因が明らかなケースは、いくらでもあり得る。

  4. 司法解剖は、強制処分であって、解剖をせず死因を特定したことに対し、司法解剖の委嘱当局(捜査当局)から責めを受けることがあっても、遺族から不法行為とされ、損害賠償の対象にはされない。だから、解剖をしないのに「解剖あり」と虚偽の記載が「死亡診断書」にあっても遺族から責められるいわれはない。

  5. 病死か事故死かによる保険金受け取り金額の差異は、原告の側において、交通事故と死亡との因果関係の立証が、充分されなかった結果に過ぎない。
以上であるが、一応、全文を掲載したので、ご関心の向きは、そちらを参照されたい。 (→第6準備書面全文)
 

■次回公判 11月28日(金)1時15分から5時00分


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