第147回決算行政監視委員会第三分科会(2000/04/20)


中川(正)分科員 今の答弁だと前と変わらないのですよ、これから頑張っていきますよというだけで。だから、早いところ今できることを具体的にやってください。そういう指令出したらいいではないですか、提示したらいいではないですか。こういうふうにコミットしていきなさいよという話をしたらいいではないですか。そういうことが具体的に出てこないと、これは一つの社会病理みたいな形でだんだんエスカレートしていく気配がありますから、それに対して危機感をひとつ持っていただきたい、こんなふうに思います。
 限られた時間なので、もう一つテーマをずらしていきたいと思うのです。
 監察制度なんです。監察というのは一体どんな形でいくのかというのは、私ちょっと疑問になりまして、もう大分前の話なんですが、保土ヶ谷で起きた交通事故に対していろいろ問題があって、最近になってその判決が出た事件。これは中身を言っていると時間がないので、もう知っていただいておるものとして議論をさせていただきたいというふうに思います。
 これは監察が入っているはずなんですね。監察の結果を見ていると、一番これに対して疑問を持ったのは遺族なんですよ。特に、亡くなられた方の夫人なんです。夫人はいろいろなことを指摘している。
 例えば、車の窓ガラスが割れていたけれども、これについては全然調書の中で警察は触れていないではないかということであるとか、あるいは、一たん警察が現場に深夜行った、それを聞かされたのは、警察から聞かされたのではなくて、周りの目撃者から、実は一たんあそこに警察来ていたんだよということを初めて聞かされて私は愕然としたというような話であるとか、あるいは、監察医がちゃんと見た、心臓だ、こう言っている調書に対して、この夫人は、遺体に傷は全然なかった、そうではなくて、どうもあれは見ていないのではないか、捏造されたものではないか、そういう疑問を一つ一つ提示しているわけです。
 ところが、裁判は裁判としてあって、もう一つ、それぞれの警察官の処分というのは、別個監察を入れてやりますよと言って処分を出したわけですね。この中に、そうした実際に答えてもらいたい部分というものが全くあらわれてきていないんですよ。
 だから、私たちがこれを見ていると、話が完全に平行線で、夫人が出してきているものに対して、警察が否定しているのか、そうでなくて認めているのか、これもわからない。そういうことの疑念というものがあるから、どうも警察自体が、みんなではかって、みんなでたくらんで、自分たちのミスというものをしっかり捏造してしまっているんではないかという疑惑はとれないんだということで、マスコミにも取り上げられるというようなことになってしまう。これは真正面からそういうものに対して向かっていないからそうなるのですよ、逃げるから、そういう印象を得たのですけれども。
 この監察結果を見て、さっきの話、これから先、夫人のそうした疑念に科学的に、もし根拠があるのであれば、こうした調査をした結果こうだったという話に持っていかないのか。また、そうすべきだと思うのですよ、これから先もまだ疑念を晴らそうと思ったら。その方向で、感想といいますか、感想以上に、長官としての評価といいますか、この監察そのものの評価というものを一つ聞きたいと思うのです。
田中政府参考人 委員御指摘の横浜での保土ヶ谷警察署管内で発生した事案でございます。これにつきましては、今御遺族の方が警察の取り扱いあるいは解剖等につきまして疑念を持っておられるという御指摘がございまして、また、それに対する監察の対応はどうであったかというお話がございました。
 私どもで、神奈川県警でも監察を入れて厳格に調査したわけでございますけれども、若干御遺族の誤解もございました。例えば、その取り扱いをした、パトカーで行って、現実に亡くなられた男性も発見しているわけでございますけれども、その点につきましても、これは解剖の際に立ち会った警察官が知らなくて、そこで奥様に申し上げなかったということがございました。
 そういうことで、そこにおりました警察官がたまたま知らなかったということでございまして、それは後ほど保土ヶ谷署の副署長がきちんと説明をしているわけでございますし、また、解剖につきましても、これは司法解剖を行っております。
 そういうことで、神奈川県警におきますところの御説明が必ずしも十分ではなかったということはございますけれども、いずれにいたしましても、そういうことを事実として確認しておりまして、また、取り扱いに従事いたしました警察官に対しても厳正な処分を行っておりますし、刑事告訴につきましても、横浜地検におきまして御判断をいただきまして、不起訴処分となっておるところでございます。
 改めて調査ということでございます。私どもといたしましては、今申し上げましたような経過で、若干その御説明に不十分な点があったかもしれませんけれども、監察は厳正に行われており、改めて調査を行う必要はないというふうに考えておるところでございます。
中川(正)分科員 いろいろなところで指摘されていますけれども、常識的に考えて、深夜に道路の真ん中にああして車がとまって人があおむいていた、それに対して、窓ガラスが割れ、前のフェンダーがへっこみ、この前のフェンダーがへっこみという話は調書にも出ていました。だけれども、窓ガラスが割れたという話は調書に出ていないのですね。そういう状況の中で、これは酒に酔ったからだといって放置をしていくかと、現場の警察官が、そういう状況の中で、これは酔ったのだからほっといたら大丈夫だろうといってほっとくかという、本当に常識的な疑念から来ているんですよ。そんなばかなことはないだろうと、普通は。例えば、それはもっと調べて、おかしかったら病院へ連れていくか、あるいは、酔っているのだったら一たん交番へ引っ張っていって説教でもするか、そういうことが普通なんだろうというふうに、我々の前提条件があるわけです。
 それが不自然な形で放置されたという話だから、これはどうも納得できないというところからすべてが始まっているんですね。そこに対するメスが入っていない、監察結果の中に。どう見てもこれは私は十分な調査をしたという納得はできないわけであります。
 それと同時に、その監察医がちゃんと死体を調べました、こういうことですが、それに対する根拠、ちゃんとやりました、ちゃんとやりましただけで相手を説得できるはずはないので、いろいろな意味で、物的な根拠も含めて、やはり遺族にも示すべきだというふうに思うんですね。それも納得していないんです、夫人の方は。
 そんなことからさまざま考えていくと、これはもう一回しっかり警察庁の監察を入れるべきだ、こんなふうに私は思っています。そういうことでないと、恐らくまた第三者的にいろいろな話が出てきて、この話はおさまらなくなるだろうというふうに思うんです。それよりも何よりも、やはりちゃんと根拠の持った説明ができるような体制をしくというのが今の警察の姿だというふうに思うんですが、どうでしょうか。
田中政府参考人 繰り返しで恐縮でございますけれども、神奈川県警におきましては、監察官室が主体となりまして厳正に監察を行い、また関係者の刑事処分につきましても、横浜地検におきまして不起訴の結果を得ております。
 私どもは、御遺族がなかなか私どもの説明で十分納得はされていないというような御指摘でございますけれども、改めて私どもからその監察といいますか調査をするという考えは持っておらないところでございます。
中川(正)分科員 時間が来ましたので、最後にしますが、御迷惑かけています。
 国家公安委員長、これはちょっとみずから目を通していただいて、委員長の判断の中で、もう一回この問題についてそれなりの国家公安委員会としての見識を見せていただければありがたい、こんなふうに思っております。
保利国務大臣 今のお話は、私も詳しく存じておりませんが、事故が関係しているものかどうかというようなこととか、なぜガラスが割れていたんだとか、そういった点でややわかりにくい点があるかもしれません。そういった点は、長官の答弁は答弁といたしまして、私自身警察庁からよく事情を聞いてみたいと思っています。
 さらにまた、先ほど言われました、警察庁側の答弁がどうも一般論で終わっちゃっているという点については、国家公安委員会の中でも同じ意見が出ておりまして、そうではなくて、やはり細かい細部にわたる反省をしていただいて、それから分析をしていただいて、そしてこういう点が悪かったんだからこの点を直していかなきゃいけないというような形で全国の警察に示してあげなきゃいけないということは、公安委員会の中でも議論をしております。
 したがいまして、私は警察庁を督励して、そういうやり方、今先生言われたような、具体的にここのところが悪いんだということを指摘するようなことを努めていきたいと思っております。
中川(正)分科員 以上、終わります。ありがとうございました。


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