3月2日公判の被告側提出資料。文中のカラーマーキングはHP管理人による。 心臓こそ「本人のものか」また「心筋梗塞だったのか」が中心テーマであるにも関わらず、 「心臓以外の臓器」でDNA鑑定をせよ、というのは、いかにも奇妙な印象を受ける。(平成17年1月2日、HP管理人・萩野谷)

※文中のカラーマーキングはHP管理人による。


平成13年2月28日
横浜地方裁判所第9民事部合議係 御中
右被告訴訟代理人・弁護士 斉藤 榮
意   見   書
(平成13年2月9日付検証に関する原告意見書に対する被告の意見)
    被告伊藤医師の意見としては、そもそも基本的に、検証や鑑定などするまでのことではないと考えている。 しかしながら、裁判所の判断としてそれらを採用したとすれば、それに従うことは吝かではない。但し、その場合には次のことを希望するものである。
1、検証の目的物
伊藤医師が保存しているホルマリン固定された亡久保幹郎の心臓及びその他臓器の組織片(本件臓器という)。
2、検証の方法
被告伊藤医師の代理人が当裁判所もしくは当裁判所の指定する場所に本件臓器を持参して提示する。 その際、DNA鑑定の必要があれば、当該DNA鑑定に必要な最少限度の組織片を鑑定人に引き渡すが、出来るだけ心臓以外の臓器片で鑑定をすることを希望する。 残余の本件臓器は、引き続き被告伊藤医師が保管を継続する。
3、理由
亡久保幹郎の司法解剖を執刀した被告伊藤医師にとって、原告より本件訴訟を提起されている以上、 亡久保幹郎の臓器、殊に心臓部分は被告伊藤医師のなした死体検案および鑑定の結論の正確性を裏付ける重要な証拠物である。 原告は、DNA鑑定の結果臓器が亡久保のものであることが証明された場合においても、次に、更に、死亡原因を「心筋梗塞」とした伊藤医師の結論に異議を唱え、不法行為に基づく損害賠償を継続して主張する可能性がある。心筋梗塞を起こした本件心臓は専門家が見れば、梗塞の有無がある程度判明する。 その場合の重要な証拠物となるものだからである。
尚、原告は、検証の方法として「横浜犯罪科学研究所に臨み、被告伊藤より……. ……. …….提示を命じ、これを写真撮影する。」などと記述しているが、本件臓器の保管場所は争点では無く、原告の検証並びに鑑定申立の立証趣旨からして、全く無意味である。 原告らが、この記述によって、目的、意図するところは奈辺に存するのか理解に苦しむところである。 このような、検証方法を採ることは、被告伊藤医師に対する重大な人権侵害であり、同人の人格ないし職務執行に当る監察医としての矜持を毀損する侮辱行為である。原告らの従来からの対応策、特にマスコミに対する態度に鑑みて、解剖室をマスコミに公開し、写真ともどもこれらをマスコミに公開するためにのみ要求するものと考えられ、強い憂慮危惧の念を抱くものである。
また、伊藤医師が、他の司法解剖の際に、「どれほどの臓器をホルマリン固定しているのか、何処にどのように保存しているのか」等ということは、およそ本件訴訟とは関係ない事柄であり、原告らに説明する必要は無い。そのために、保管場所を含めて検証する等ということは、本件訴訟の目的を著しく逸脱するものである。


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