押田鑑定人FAXへの意見書及びその補充

※文中のカラーマーキングはHP管理人による。



 

平成12年(ワ)第2740号 損害賠償請求 事件

原告 久保佐紀子外
被告 伊藤順通 外

平成13年7月27日
横浜地方裁判所第9民事部合議係 御中
右被告訴訟代理人・弁護士 斉藤 榮
意見書

平成13年7月18日付鑑定人押田茂實殿のFAXに対する被告伊藤順通代理人の意見。

  1. 本件鑑定の目的は、「ホルマリン固定された亡久保幹郎の臓器」が真に亡久保幹郎のものであるか否かをDNA鑑定の方法によって明らかにし、因って、亡久保幹郎の司法解剖が行われていないとする原告の主張を弾劾するものである。従って、「鑑定の対象物は、ホルマリン固定された亡久保幹郎の臓器の一部分」であって、プレパラート標本でもなければ、パラフィンブロックでもない。現に平成12年10月12日付原告の検証申出書及び鑑定申出書には検証、鑑定の対象物については、プレパラート標本やブロック標本は念頭においておらず挙示もされていない。平成13年3月2日付被告伊藤の検証申出書も「ホルマリン固定された臓器一式」としているのみである。  従って、本来、本件鑑定の目的物は、「ホルマリン固定された臓器」のみである。その後、DNA鑑定の際に併せて死因が心筋梗塞であったか否かも鑑定の目的に加えたため、プレパラート標本を提出するという経過になったものと記憶している。そこで、被告が保管するプレパラート標本も併せて提出することにしたものである。被告代理人の調査したところでは、プレパラート標本がホルマリン固定された臓器より、DNA鑑定の資料としてすぐれたものとはいえないので、DNA鑑定のためには更にブロック標本まで提出する必要性を見い出し難いと平成13年5月21日付理由書で述べたものである。平成13年7月18日付鑑定人の意見では、「パラフィンブロックについてDNA鑑定を行うことが重要」であるとしているが、DNA鑑定は、「ホルマリン固定された臓器」について行うことが重要なのであって、ブロック標本についてではない。

  2. しかしながら、この点で議論をしていても時間の空費であり、鑑定人が、「鑑定辞退」をほのめかしており、被告伊藤医師の対応を鑑定辞退の理由にされたのでは本意ではないので、当職が保管するブロック標本を速やかに提出することとする。しかしながら、本件鑑定にあたっては、「再鑑定の可能性を考慮して一部を残すように努めなければならない」という程度の努力目標ではなく、必ず、ホルマリン固定された臓器、パラフィンブロック等については、本件鑑定に必要な最少限度を使用し、それ以外は必ず残していただきたい。あるいは、パラフィンブロックを渡すのと引き換えに本件ホルマリン固定された心臓の一部を、本件鑑定に支障のない限りで、当方に引き渡してい貰うことを要求する。  当方としては、従来の経緯に鑑みて、当方側においても鑑定することの必要性を確定的に考慮せざるを得ないと考えている。


 

平成12年(ワ)第2740号 損害賠償請求 事件

原告 久保佐紀子外
被告 伊藤順通 外

平成13年8月22日
横浜地方裁判所第9民事部合議係 御中
右被告訴訟代理人・弁護士S
意見書
平成13年7月27日付被告伊藤順通代理人の意見書の補充。
  1. 当職が伊藤医師より預かり保管中のパラフィンブロックを押田鑑定人に引き渡す日程を平成13年8月31日午後4時30分との通知を受けましたが、 その際、平成13年7月27日付被告伊藤順通代理人の意見書「2」において述べたとおり、本件ホルマリン固定された「心臓の一部」(一番大きいブロックを半分にカットしてその片方部分を返還することを希望するが、返還部分は鑑定人の判断を優先させる)を本件鑑定に支障のない範囲内で、当方に一部返還して貰うことを要望致します。理由については、既に、前記意見書で述べたとおりであります。

 


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