以上、宜しくお願い申し上げます。
平成20年2月22日
神奈川県議会議長殿
副代表 宮崎 猷三(みやざき・ゆうぞう)
(参考サイト:保土ヶ谷事件の記録)
この事件の過程において、民事提訴を行った原告である遺族は、久保幹郎氏(以下「亡幹郎」という)の遺体に解剖痕がなかったこと、また第三者である葬儀社の社長から棺を取り替える際に解剖痕がなかったという証言も得たことから、伊藤順通監察医が司法解剖を行っていないとの確信を持ちました。
そして、平成10年9月、虚偽公文書作成の罪で刑事告発を行い、次に平成12年9月、解剖の証拠として同医師が保管してあるという亡幹郎の臓器の裁判所への提出と、それが本人のものであるという証明のためのDNA鑑定を求めて民事提訴を行いました。
DNA鑑定は、民事訴訟に於いては日大・押田教授、刑事捜査に於いては筑波大・本田教授によって行われ、その結果、いずれも、裁判所に提出された臓器は、亡幹郎の臓器ではないと鑑定されました。
平成16年6月、横浜地検が同医師を不起訴とした際の理由は、「保管方法が適切でなかったため他人の臓器と取り違えた」(神奈川新聞6月19日記事)というものでした。この処分を受け、時効まで10日を目前に「不起訴相当」と判断した横浜検察審査会は、決議文を次のように結んでいます。
「本件が生じた原因には、解剖の際の報告書や臓器の保管に際して、きちんとした法規制がないことが上げられる。解剖の報告書には必ず解剖時の写真を添付することや臓器の保管にきちんとした基準を設けていれば、そもそも本件のような問題は生じなかったはずである。ゆえに、現在のずさんな体制を改め、早急な法整備が必要と思われる。 また、監察医体制についても、特定の人間に偏ることなく、大学等の協力を求めるなどの充実を図るべきである。」
平成19年9月6日の東京高等裁判所の判決では、上記2つのDNA鑑定の信用性が認められましたが、裁判所はなおも「司法解剖有」としました。その根拠は、伊藤医師による「本件臓器の保管・整理状況は、多数の臓器を保管しているにもかかわらず、その管理に関る情報(日付、取扱警察署、氏名、年齢等)は、厚手のビニール袋に貼付されたラベル以外にはなく、臓器の保管自体のみならず、保管情報の管理としても著しくずさんなものであり、伊藤が幹郎の臓器と誤信して、第三者の臓器を裁判所に提出した疑いを払拭できない」(判決文P13〜18から抜粋)というものでした。
すなわち、横浜地検、横浜検察審査会、東京高等裁判所のいずれも、伊藤医師による臓器の保管状況が「ずさん」なものであって、それによって、裁判所に亡幹郎のものではない第三者の臓器が「本人のものと誤信して」提出されたとしているのです。
ここで、当然、大きな疑問が湧きあがります。もし、この事件において、監察医と名のつく医師によって、管理がずさんなために第三者の臓器が裁判所に提出されているならば、過去にも同じことがあり、将来も同じことが繰り返されるのではないか?ということです。
事件とは何ら関係のない証拠を基礎として、検察庁の判断や裁判所の判決が左右されるならば、司法はその意味を失います。これは、市民社会にとって脅威であるばかりでなく、法治国家の根幹に関る由々しき事態と言わざるを得ません。
(共同提出者)
http://www.independence.co.jp/police/hodogaya/
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